チアゾリジン薬(TZD)
脂肪細胞を小型化して、インスリン抵抗性を改善する。インスリン分泌促進を介さずに血糖値を下げる。インスリン抵抗性の亢進を有する2型糖尿病に良い適応である。
主なTZD
成分名 |
商品名 |
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ピオグリタゾン | アクトス |
単独では低血糖をきたしにくい。
血管壁に作用して、コレステロール引き抜き効果や、抗炎症作用を発揮し、心血管疾患予防効果を有するとされる。
TZD服用中は、皮下脂肪が増えるため体重が増えやすく、体重増加は血糖コントロールに影響を与えるため、食事療法は継続するべき
むくみが出やすくなるので、塩分摂取は控える必要がある。
心不全に禁忌。水分貯留傾向を示し、症状が増悪する。
TZDの作用機序
肥大した脂肪細胞(特に内臓脂肪)では、インスリン抵抗性を惹起するTNF‐αやFFA(悪玉アディポサイトカイン)の分泌が亢進し、インスリン抵抗性を改善するアディポネクチン(善玉アディポサイトカイン)の分泌が低下する。
チアゾリジン薬は皮下の脂肪細胞に発現しているPPAR‐γに結合し、小型脂肪細胞への分化を促す。
皮下で増加した小型脂肪細胞はTNF‐α・FFA・アディポネクチンの分泌や放出は正常であるため、相対的にアディポサイトカイン分泌異常は軽減され、インスリン抵抗性が改善する。
【欠点】
インスリン基礎分泌の低下がある症例やSU薬無効例では効果が期待できない。